[145]M&Aのステップ(3-1)買収実行

ターゲットの絞り込みができたら、実行フェーズです。実行フェーズはプロセスが多岐に渡るうえ、ほぼすべてが交渉で決まっていく、不確定要素の強いものとなります。

 

3.買収実行

(1)コンタクト方法とプロセスを選定

・買収実行プロセスの鳥瞰図作成

・アプローチ方法を選択

・トップに近いレベルと接触し、買収交渉に応じる意思を確認

・秘密保持、情報提供に関して先方と合意 (秘密保持契約の締結)

(2)買収スキームの検討

・戦略目的に合致したスキームの選定

・税金、会計、法律問題の分析

(3)買収希望価格の決定

・ストラクチャーの変更によって期待される企業価値の把握

・買収希望価格の決定

(4)第一次条件交渉

・買収交渉を行う目的を候補先と共有

・交渉の前進可能な条件の設定

・基本的な条件の合意(基本合意書(LOI)の締結)

(5)デューディリジェンスの実行

・事業戦略、事業内容の調査

・財務内容の精査

・キャッシュ・フローを再度予測し、企業価値を再評価

(6)買収後の経営計画の作成

・主要な意思決定の責任分担を決定

・買収目的の合意

・重要分野について統合計画を策定

・シナジー効果を定量的に把握し、必要な行動とタイミングを特定する

(7)最終条件交渉(買収形態、価格等)

・企業統治と事業運営の原則を合意

・買収金額の支払い方法を決定し、買収価格を最提示

・最終契約書を準備

・買収後の経営の有り方を決定

 

【バリューアップ効果の考え方】

バリューアップ効果は、下記のように算出します。

シナジー価値+リストラクチャリング価値+ファイナンシャルリエンジニアリング価値ーコスト増加要因

 

シナジー価値例:

  • 既存の売上 以外(例:チャネルの拡大)の製品から生じる 利益の取り込み
  • 購買力の増加による仕入れコストの削減

リストラクチャリング価値例:

  • 不採算製品の見直し によるコスト削減
  • 人件費の削減
  • 人件費以外のコスト削減
  • 遊休設備等の売却よるキャッシュイン

ファイナンシャルリエンジニアリング価値例:

  • 資金調達力を 背景とした借入れコスト の削減

コスト増加要因:

  • 従業員関連のコスト
  • 生産設備関連コスト(移転、売却等)
  • 隠れたコスト(年金債務その他)

 

【先方からの資料入手リスト例】

(基本情報)

会社経歴、商業登記簿謄本、株主名簿、商品・製品の内容、会社組織図、会計監査人の報告書、顧問税理士・弁護士

(財務数値)

会計方針・会計基準、過年度の財務数値、各勘定明細、不良資産の内容、借入金の状況、担保状況、保証債務・被保証債務、偶発債務状況

(組織形態)

組織図・人員配置図、役員の経歴・担当業務、従業員名簿、就業規則・賃金規則

(営業の状況)

市場状況、主要顧客、商品別売上明細、価格政策、競合状況、広告活動

(設備状況)

生産能力、稼動状況、有形固定資産明細、減価償却方針、設備投資計画、リースの内容

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